旭川女子中学生いじめ事案

「(仮称)旭川市いじめ防止条例骨子案」に対する意見(作成中)

「(仮称)旭川市いじめ防止条例骨子案」に対する意見等の募集について


(仮称)旭川市いじめ防止条例骨子案⑶ 是正勧告等

○ 市長は、相談、通報等を受けたいじめ(いじめの疑いがあると認めるものを含む。)について、その事実確認及び問題解決を図るために必要な調査、調整等を行うことができる。

○ 市長は、調査、調整等の結果、必要と認めるときは、市立学校その他関係者に対し、いじめを受けた児童生徒を救済するために必要な措置を講ずるよう是正勧告を行うことができる。この場合において、市長は、あらかじめ、当該是正勧告について旭川市子ども・子育て審議会等の意見を聴かなければならない。

○ 市長は、是正勧告を行ったときは、当該の市立学校その他関係者に対し、当該是正勧告に係る対応状況について報告を求めるものとする。

(仮称)旭川市いじめ防止条例骨子案


1 本骨子案⑶の目的は「地方教育行政の組織及び運営に関する法律第一条の四」で定められている「総合教育会議」や、「いじめ防止対策推進法第二十二条」で定められている「学校いじめ対策組織」によって果たせる

地方教育行政の組織及び運営に関する法律第一条の四で定められている「総合教育会議」では、「児童、生徒等の生命又は身体に現に被害が生じ、又はまさに被害が生ずるおそれがあると見込まれる場合等の緊急の場合に講ずべき措置」について協議調整することが出来る。

地方教育行政の組織及び運営に関する法律

第一章 総則

(総合教育会議)

第一条の四 地方公共団体の長は、大綱の策定に関する協議及び次に掲げる事項についての協議並びにこれらに関する次項各号に掲げる構成員の事務の調整を行うため、総合教育会議を設けるものとする。

二 児童、生徒等の生命又は身体に現に被害が生じ、又はまさに被害が生ずるおそれがあると見込まれる場合等の緊急の場合に講ずべき措置

また、いじめ防止対策推進法第二十二条で定められている「学校におけるいじめの防止等の対策のための組織」では、「複数の教職員、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者その他の関係者により構成されるいじめの防止等の対策のための組織を置くものとする」とされている。

いじめ防止対策推進法

第四章 いじめの防止等に関する措置

(学校におけるいじめの防止等の対策のための組織)

第二十二条 学校は、当該学校におけるいじめの防止等に関する措置を実効的に行うため、当該学校の複数の教職員、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者その他の関係者により構成されるいじめの防止等の対策のための組織を置くものとする。

したがって、これらの会議や組織によって、本骨子案⑶の目的は果たせる。


2 今ある権限を最大限行使せずに(総合教育会議を積極的に開催せずに)新たな権限を求めることは、道理に反する

今津寛介市長は、マスコミに対し、当時の学校・教育委員会の対応や、第三者委員会の対応について、度々不満を漏らしていたが、旭川市長に就任した2021年9月26日から報告書が答申された2022年9月12日までの間に、たったの3回しか総合教育会議を開催していない。

旭川市ホームページ 総合教育会議

今ある権限を最大限行使せずに、新たな権限を求めることは、道理に反する。


3 本骨子案 に記載されている内容は、教育基本法第14条第2項の「教育の政治的中立」と、教育基本法第16条第1項の「教育の独立」に抵触する

市教委職員の市長部局所属は「教育の政治的中立性」を損なわせるものである。

何故ならば、市教委が「特定政党に属する市長」の部下となり、上意下達的な作用によって、道徳という「教育全体に関わる問題」についての評価基準に対し、不当な干渉を受け得るからだ。

市教委の道徳の評価基準に行政の不当な干渉が及べば、学校現場も間違いなく其の影響を受ける。

行政と市教委が一体であるかのような状態となり、学校の立場が弱くなるからだ。

また、学校が「いじめとは言えない」と評価した事案において、「いじめの被害を受けたと訴えている生徒が受けた行為」が「社会通念上のいじめといえるか否か」の評価を要する場合、市長が指揮する「市長部局」が、自らの(道徳)評価基準に基づいて「いじめである」と評価し、その評価に基づいて、学校に「いじめとしての対応」を求めることも、「学校の道徳教育に対する不当な支配介入」に他ならない。

教育基本法

第二章 教育の実施に関する基本

(政治教育)

第十四条 2 法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。

第三章 教育行政

(教育行政)

第十六条 教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。

そもそも、行政職員が校長権限を脅かして、個別のいじめ事案に直接介入する状態となって「教育権が独立している」と評価することはできない。

また、「道徳教育について介入しているのではなく、人権問題について介入している」と宣言したとしても、それによって道徳教育に介入していないことにはならない。

そして、起きている事象が人権問題であるか否かの評価は、調査をして、自らの評価基準に基づいて「いじめである」と評価した後でなければ出来ない。

また、「教育全体について介入しているのではなく、個別の事案について介入している」と宣言したとしても、教育全体に関わる問題に介入していないことにはならない。

今ある権限を行使せずに新たな権限を求める其の目的も「学校にプレッシャーを与える政治的パフォーマンスをすることにある」としか評価出来ない。

また、「是正勧告」という「行政指導」が学校教育に与える影響も決して小さくはない。


4 本骨子案 ⑶ に記載されている「勧告」を市教委が無視した場合に、どのような対応が予定されているのか不明

「勧告」とは、「行政指導」の一種であり、行政機関が、相手方の任意の協力同意を得て、その意思を実現しようとする行為であって、法的拘束力をもたない非権力的行政作用であるとされている。

しかしながら、実際には、相手方の任意性を失わせる心理的圧迫行為(行政指導に従わなかった者の氏名公表など)が行なわれることが多い。

また、市が、行政指導に従わない学校や職員の氏名を制裁的に公表すれば、文春オンライン報道によって深刻なネットリンチが起きたように、職員のみならず生徒にも重大な不利益を与える蓋然性が極めて高い。

本骨子案作成者は、この点について、全く説明をしていない。


5 本骨子案の前文に「二度とこのようなことが起こらないよう,これまでの取組を見直すとともに,市が問題の解決に取り組む組織体制を構築するなど,いじめの防止等の対策を抜本的に改めることとしました。」との記載があるが、2019年以前に本骨子案が条例として制定されていたとしても、「廣瀬爽彩さんを被害者とするいじめ事案」における「いじめ認知の遅れ」が防げたとは思えない

本骨子案の前文には「中学校1年生のときにいじめを受けていた市立中学校2年生の女子生徒が,令和3年3月に市内公園において遺体で発見されるという痛ましい出来事が起こり,本市では初めてのいじめの重大事態となりました。本市は,教育委員会及び学校における対応が十分ではなかったとの反省の上に立ち,二度とこのようなことが起こらないよう,これまでの取組を見直すとともに,市が問題の解決に取り組む組織体制を構築するなど,いじめの防止等の対策を抜本的に改めることとしました。」との記載がある。

しかしながら、2019年以前に本骨子案が条例として制定されていたとしても、「廣瀬爽彩さんを被害者とするいじめ事案」における「いじめ認知の遅れ」が防げたとは思えない。

何故ならば、「廣瀬爽彩さんを被害者とするいじめ事案」における「いじめ認知の遅れ」は、①発達障害児に対する配慮や支援体制の不備、②加害生徒等の否認と証言の不一致、③証拠や目撃証言の不足、④被害者に対する聴き取り制限等、⑤「いじめ」と「男女間のもつれ」の線引きの難しさ、を原因とするものであり、必ずしも「調査の落ち度」とは言い切れないからである。

ひとつずつ説明していく。

①発達障害児に対する配慮や支援体制の不備

被害者は、自閉症スペクトラム障害を抱えており、環境の変化や、物事が上手く進まないことに対して、パニックを起こし、突発的な行動に出ることがあった。
また、クラスで孤立感を深め、「寂しい」と複数の加害生徒に漏らすこともあった。
学校は、被害者が卒業した小学校から口頭で「被害者の特性に関する申し送り」を受けていたこともあり、これら被害者の言動を重く見て、一連の「いじめ」を「トラブル」と解釈し、其のトラブルやトラブルに対する反応について、特性が起因した問題であると受け止め、「いじめ」としてではなく、「発達障害」の問題として、支援することを検討していた。

「いじめ」という一つの事象だけを見て対処するのではなく、目の前の子供の苦しみと向き合おうと考えた現場の判断は、必ずしも間違いとは言い切れない。

しかしながら、これら現場の判断以前に、学校は重大な不作為を犯している。
それは、発達障害者支援法第8条の「発達障害児に対する配慮や支援体制の整備」を怠ったことである。

被害者は、その為に、クラスメイトや加害生徒等に自身の障害を「理解して貰うための」カミングアウトをすることが出来ず、変えられない、抑えられない、自身の言動に苦しみ続け、加害生徒等から言動を嘲笑されるようになり、それでも、その関係にしがみつき、日常のあらゆる問題が整理出来なくなって、様々な感情を吐露するようになり、学校から不十分な裏読みをされる状況になったのである。

特性について周囲から理解が得られ、必要なサポートが受けることが出来ていれば、自身の言動に苦しむことも、言動を嘲笑されることも、素行不良生徒達との関係にしがみつくことも、強引な手法によって写真を送信させられたり、自慰行為をさせられたりすることも、不十分な裏読みをされることもなかった筈である。

つまり、学校が指摘し続けてきた「発達障害に起因する問題」というのは、「発達障害児に対する配慮や支援体制の不整備に起因する問題」であったということだ。

これは、北星中学校だけの問題ではなく、旭川市民だけの問題でもなく、日本国民全体の問題であり、この問題が解消されない限りは、本骨子案を条例として制定したところで、当該いじめ事案の「いじめ認知の遅れ」は防げない。

尚、本骨子案は「発達障害児に対する配慮や支援体制」について、一切言及していない。

発達障害者支援法

第一章 総則

(国及び地方公共団体の責務)
第三条  国及び地方公共団体は、発達障害者の心理機能の適正な発達及び円滑な社会生活の促進のために発達障害の症状の発現後できるだけ早期に発達支援を行うことが特に重要であることに鑑み、前条の基本理念(次項及び次条において「基本理念」という。)にのっとり、発達障害の早期発見のため必要な措置を講じるものとする。

2  国及び地方公共団体は、基本理念にのっとり、発達障害児に対し、発達障害の症状の発現後できるだけ早期に、その者の状況に応じて適切に、就学前の発達支援、学校における発達支援その他の発達支援が行われるとともに、発達障害者に対する就労、地域における生活等に関する支援及び発達障害者の家族その他の関係者に対する支援が行われるよう、必要な措置を講じるものとする。

3  国及び地方公共団体は、発達障害者及びその家族その他の関係者からの各種の相談に対し、個々の発達障害者の特性に配慮しつつ総合的に応ずることができるようにするため、医療、保健、福祉、教育、労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体相互の有機的連携の下に必要な相談体制の整備を行うものとする。

4  発達障害者の支援等の施策が講じられるに当たっては、発達障害者及び発達障害児の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)の意思ができる限り尊重されなければならないものとする。

5  国及び地方公共団体は、発達障害者の支援等の施策を講じるに当たっては、医療、保健、福祉、教育、労働等に関する業務を担当する部局の相互の緊密な連携を確保するとともに、発達障害者が被害を受けること等を防止するため、これらの部局と消費生活、警察等に関する業務を担当する部局その他の関係機関との必要な協力体制の整備を行うものとする。

(国民の責務)
第四条  国民は、個々の発達障害の特性その他発達障害に関する理解を深めるとともに、基本理念にのっとり、発達障害者の自立及び社会参加に協力するように努めなければならない。

第二章 児童の発達障害の早期発見及び発達障害者の支援のための施策

(教育)
第八条  国及び地方公共団体は、発達障害児(十八歳以上の発達障害者であって高等学校、中等教育学校及び特別支援学校並びに専修学校の高等課程に在学する者を含む。以下この項において同じ。)が、その年齢及び能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた十分な教育を受けられるようにするため、可能な限り発達障害児が発達障害児でない児童と共に教育を受けられるよう配慮しつつ、適切な教育的支援を行うこと、個別の教育支援計画の作成(教育に関する業務を行う関係機関と医療、保健、福祉、労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体との連携の下に行う個別の長期的な支援に関する計画の作成をいう。)及び個別の指導に関する計画の作成の推進、いじめの防止等のための対策の推進その他の支援体制の整備を行うことその他必要な措置を講じるものとする。

②加害生徒等の否認と証言の不一致

●被害生徒が公園と小学校の多目的トイレで自慰行為を強要された件

Aは「DとEが強要した」と証言し、DとEは「Aが強要した」と証言していた。

自白がなく、証言も一致していない状態では、事実認定することは出来ない。

●被害生徒がウッペツ川に入水するに至った件

当時、Cは、「体育座りのものまねをしたら怒り出した」と証言していた。

「体育座りのものまね」という供述では「いじめ」と評価することは出来ない。

また、当時、Aは「死ぬ気もねえのに死ぬとか言ってんじゃねえよ」という発言を否認していた。

否認している以上、事実認定することは出来ない。

●被害生徒が複数回奢らされた件

当時、Aは「ハイチュウを1回だけ奢ってもらった」「自分は断ったが、被害生徒が自らレジに持っていき支払った」と証言していた。

「被害生徒が自らの意思で奢った」という供述では「いじめ」と評価することは出来ない。

③証拠や目撃証言の不足

当該事件加害行為は、コミュニケーションアプリ内、公園内、小学校の多目的トイレ内、といった、教師や他の生徒が目撃する可能性が低いスペースないしエリアでおこなわれている。

実際に、学校が調査をおこなった際も、第三者委員会が調査をおこなった際も、当事者以外の生徒等から有力な目撃情報は上がっていない。

また、先述した通り、加害生徒等は一連の加害行為について否認していた。

このような状況では、調査が行き詰まるのは致し方がない。

④被害者に対する聴き取り制限等

学校は、病院から制限を受けており、被害者本人から聞き取りが出来なかった。

保護者が子供の意に反する言動を取ったり、子供の記憶と異なる申告をするケースもあるので、被害者に直接の聞き取りをすることが出来ない状況では、調査が行き詰まってしまうのも致し方がない部分がある。

また、被害者は、警察の聞き取りでは「いじめはない」と答えており、学校も、警察からその報告を受けている。

学校は、警察の判断を尊重する他ないのであって、警察の判断を尊重した学校に落ち度はない。

⑤「いじめ」と「もつれ」の線引きの難しさ

C男とF男の加害行為は、犯罪であり、警察案件である。

したがって、学校が対応するべき性質の事案ではない。

また、被害生徒とC男、被害生徒とF男の関係を、単なる「後輩と先輩の関係」として解釈することは適切ではない。

加害行為自体は、先輩の立場を利用しておこなわれた部分があるが、その関係が全てと言い切ることは困難である。

少なくとも、当該生徒等は、会話をして、LINEの交換をして、一定回数やり取りをした関係といえる。

また、世代によって捉え方は異なるが、国民の大多数は、学年が異なる思春期の男女が連絡先を交換して一定回数やり取りをしていれば、双方に少なからず好意の感情があるのだろうと推測する。

その為、仮に学校の調査で、C男やF男の強要行為が判明していたとしても、「いじめ」であるのか、男女間のもつれであるのか、について、断定的な評価をすることは困難であったと思われる。

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