やり続けていれば、それなりに、形になってくるものです。
私は、新たな役員を立て、暗躍し続けた役員を解任し、走り続けていました。
おまけに、結婚して、家庭まで作っていました。
経営関連の本を片っ端から読んだ後は、田中角栄の人心掌握術を何度も読んで、「私は田中角栄」「私は田中角栄」と自己洗脳を図り、物事を広く見ることと気配りを意識し、問題が起きても動じない、堂々とした人間でいるよう心掛けて、仕事をしました。
すると次第に、新規の顧客を獲得出来るようになり、既存の取引先も対等に付き合ってくれるようになり、新たな従業員も沢山入ってきて、少しずつ、皆が社長として接してくれるようになっていったのです。






ただ、誰よりも早く出社するという分かりやすいアピールはしませんでした。
私の仕事は外回りが主だからです。
また、立て続けに起きる問題を、全集中して、一気に片付ける私が、そんなことをしたら、死にます。
ある時は、連日、解任した役員嫁から電話が掛かってきて、深夜まで支離滅裂な抗議をされたことがありました。
睡眠不足過ぎて、気付いたら、高速道路に入る手前のコンビニの駐車場だった時もありました。
途中の記憶をなくしながら高速道路を走っていた時もありました。
そんな生活が続いて、機能不全にもなりました。
「それでも、認めて貰えないのが社長という職業なんだな」と思い、何度も挫けそうになりました。
しかし、その時も周りの反応は、少しずつ良くなっていきました。
諦めなければ何とかなる!という訳ではありませんが、それ以来、「何かが変わっていくのは、いつもゆっくりだから、焦らずやっていこう!」というのが、私の生き方のベースになっていったと思います。


しかし、ビジネスである以上、そうも言ってられない時があります。
「やっと軌道に乗ってきた」と思えた頃、取引先から、派遣従業員の勤務態度が悪いということで、クレームが入ったのです。
私は、直ぐにその取引先の元へ行きました。
しかし、話を聞いてみると、質問が多いという話でした。
私は、「そりゃ、分からないことが出てきたら聞くしかないだろう」「客とはいえ、狭量で、一方的な主張だな」と思いながらも、下手に下手に出て、相手に理解を示し、ギリギリのラインだと思える範囲で、彼を擁護しました。
その結果、半分予想通り、取引先は、不満そうな顔をして、後日、契約解除の意向を伝えてきました。
私は、契約を解除された従業員を慰めつつ、「ただ次からは、こういう場合はこうした方がいい」「ああした方がいい」とアドバイスをしました。
すると今度は、その従業員が、不満そうな顔をして、「でも、ああだ、こうだ」と言うのです。
私は疲れていたのか、「じゃあ二人で殺し合えば良いじゃん」と一瞬思いましたが、本当にそんなことになったら不味いし、契約を解除されたばかりで、不貞腐れる気持ちも分からなくはなかったので、その気持ちは飲み込みました。
そうして、次はどうしようか、この損失はどうやって補填しようか、と考えている最中、今度は、その取引先が、別の派遣従業員を引き抜いてきたのです。


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